拡大する写真・図版 美空ひばりの映像や音源をAIで解析し、再現した(NHK提供)

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 亡き美空ひばりを人工知能(AI)の力でよみがえらせ、新曲を歌ってもらう。そんな番組をNHKが企画した。人はデジタル上で「不老不死」になり、表現の可能性が広がる一方、表情や声が第三者に操作されるおそれもある。

 250人超が見つめるコンサート会場の舞台上。虚空からスッと浮かび上がったのは、1989年に死去した歌謡界の女王、美空ひばりだ。生演奏に体を揺らしながら、「川の流れのように」を手がけた秋元康氏による新曲を披露した。30年ぶりの「再会」に涙を流す人もいた。

 舞台上に現れたのは、NHKが29日に総合テレビで放送する「NHKスペシャル」の企画で作った立体映像だ。「AIひばり」と呼ばれ、楽譜があればどんな歌も、晩年の歌姫の声で歌うことができる。遠目で見ると、舞台上で人が本当に歌っているようだった。

 NHKやレコード会社で眠っていたコンサート映像や音源、ひばりが幼い息子に本を読み聞かせた音声など、数十時間分を解析。発音や言葉の連なり、目と口の動きなど、人間は気付かないようなひばりの「歌い方のルール」をAIが見つけ出して、習得した。音声の解析は音声合成ソフト「ボーカロイド」で知られるYAMAHAの技術者が担った。

 NHK大型企画開発センターの寺園慎一エグゼクティブ・プロデューサー(EP)は言う。「誰もが知るスターをよみがえらせることでAIの進化を手触りのある形で示したかった」

 デジタル上に人を作り出す技術は「デジタルヒューマン」などと呼ばれる。もとは米ハリウッドで発展してきた技術だと言うのは早稲田大の森島繁生教授(応用物理学)。近年、進歩がめざましいAIの深層学習(ディープラーニング)の技術で、精度や速度が飛躍的に伸びているという。AIひばりも深層学習で歌声を解析した。

 いわば人の容姿や声を肉体から切り離してデジタル上に保存するようなものだ。歌手が全盛期の声を保存しておいたり、体の一部だけ若返らせたりといった表現が可能になる。

いかに多くのデータ集めるかが鍵

 一方で人間の目で見破るのは難…

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