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 二人は川べりに立つて、夕映えのなかにつつまれて夕映えをながめた。夕映えは大川の水面にもひろがつて来てゐた。静かな水の色が夕映えのなかへふくらんで、あたたかく溶け合つてゐるやうだつた

 作家、川端康成の小説「たまゆら」の一節。半世紀以上前、宮崎を訪れた川端が象徴的な夕景を目に焼き付けた宮崎市のホテルの一室がリニューアルされた。耐震工事で姿を消す予定だったが、保存を望む声を受けて計画を変更。文豪が愛した眺望もそのままに、記念室として生まれ変わった。

 1964(昭和39)年11月16日、川端は宮崎空港に降り立った。翌年放送のNHKの連続テレビ小説「たまゆら」の舞台となる宮崎県の取材のためだ。「神話の里・宮崎」のガイドブックとして古事記を携えていたという。

 当時、案内を務めた宮崎交通OBの渡辺綱纜(つなとも)さん(88)は、系列の宮崎観光ホテル西館の522号室のバルコニーにたたずむ川端の姿を思い出す。「風邪をひくから中に入るようにお願いしても、じっと真剣に夕映えを見ている。感動を胸にしっかりとしまい込んでいるようだった」。山々の向こうに沈みゆく夕日は薄く広がる雲と大淀川に映り、反射するように輝いていたという。

 川端は「こんなに美しい夕日は…

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