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 文豪、森鷗外(1862~1922)の「鷗外全集」(岩波書店)に収録されていない文章が見つかった。軍医でもあった鷗外が、医学書に寄せた序文で医者としての基本的な心得を述べており、鷗外文学との共通点もうかがえる。鷗外の子孫からは「これまでのイメージを覆す」という驚きの声も上がる。

 序文は、鷗外の出身地、島根県津和野町が2017年に埼玉県の収集家から購入し、森鷗外記念館(津和野町)の所蔵資料になった約7500点の中から見つかった。1891年に刊行された医学書「新纂診断学(しんさんしんだんがく)」に書かれており、本名の森林太郎(りんたろう)の名で、3ページにわたり漢文約400字でつづられている。

 ▽「近世(きんせい)の治術(じじゅつ)は専(もっぱ)ら器械(きかい)を借(かり)るは是(こ)れなり」(近頃の医者は専ら医療機器に頼る傾向がある)

 ▽「目(め)は視(し)を主(つかさど)る。視(み)ること及(およ)ばずして后(のち)鏡(きょう)を用(もち)ひるべきなり」(医者は患者を目で見ることである。その上で、見ることができないとわかったのちに光学顕微鏡で見るのである)

 ▽「蓋(けだ)し器械(きかい)は五官(ごかん)の及(およ)ばざるを扶(たす)け、以(もっ)て功(こう)を成(な)すのみならん」(要は、目、耳、鼻、舌、皮膚の五官の観察の及ばないとき、医療機器を用いて初めて成功するのである)など。

 医者が聴診器や顕微鏡など医療機器に頼ることを戒め、実際に目や耳、手を生かして患者と向き合うことの重要性を説く。

 また、序文の末尾では、中国古…

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