JCO臨界事故から20年 薄らぎつつある記憶に危機感
益田暢子
茨城県東海村の核燃料加工会社「ジェー・シー・オー(JCO)」で起きた臨界事故から30日で20年が経つ。被曝(ひばく)した住民らでつくる「臨界事故を語り継ぐ会」は、地元で17年続けてきた不安や要望を聞き取るアンケートを今年を最後にやめることにした。事故の記憶は薄らぎつつある。
「もう潮時だ」。昨年末、語り継ぐ会の事務局役を務める日立市の著述家、大泉実成(みつなり)さん(57)は、アンケート結果にこう思った。茨城県が被曝住民を対象に年末に続けている集団検診に合わせて、会として独自に不安や要望を聞き取ってきた。事故3年後の02年に行った初回は、回答した163人のうち21人が「体調が悪い」と訴え、98人が「健康に不安がある」としていた。昨年は回答した98人中、体調不良を訴えたのは7人。原因は「加齢によるもの」と考える人が多かった。
多い時は約30人いたメンバーも高齢化が進み、5人ほどに。今後の活動は毎年9月30日前後に開く集会だけになりそうだ。
大泉さんの両親は、JCOから約120メートル離れた場所で営んでいた自動車部品工場で被曝した。推定被曝量は胸部CTスキャンの1回分ほどの6・5ミリシーベルトで、「身体への影響はない」とされた。
しかし、母恵子さんは事故当…