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 「あいちトリエンナーレ」の展示の一部「表現の不自由展・その後」が中止になった問題をめぐり、文化庁は採択を決めていた補助金の全額を交付しないと発表した。今後の「表現の自由」への影響について、憲法学者の横大道聡・慶応大教授に聞いた。

 不支給の決定は、不自由展をめぐる問題が、別の次元に入ったことを意味する。「表現の自由」の問題としてはより深刻な状況だ。

 これまでも申請する側が物議を醸す表現を控える忖度(そんたく)はあったが、今回のような国のあからさまな動きは特殊な事例だ。いったん採択した補助金について、後から「手続きに不備があったから撤回する」というやり方が今後も通るのであれば、文化事業をする自治体や団体を萎縮させる効果は相当大きい。

 国が求めるように、展示作品を決めた段階で予想される社会からの反響を国に伝えなければ補助金が支給されないという仕組みになれば、何が起きるか。少しでも物議をかもしそうなイベントは、補助金の決定に影響するから差し控えようという配慮が働くようになるだろう。社会全体で、表現が流通する余地が狭まれば狭まるほど、表現に触れる機会は減り、「表現の自由」は制約される。

採択後の交付取り消し

 一般的には憲法の「表現の自由」は、表現の自由を妨げられない権利であり、国から助成や発表場所の提供を受ける権利を保障するものではない。しかし今回のように一度、補助金が採択している場合は話が違う。

 有名なのは、千葉県船橋市の図書館で、司書が独断で自分の思想信条に反する書籍を廃棄したことが発覚した2001年の事件だ。裁判では、著者は図書館に本を置いてもらう権利があるわけではないが、いったん入れた以上は公正に扱わないといけないという見解が示された。同じ理屈で、いったん補助金を出すと決めたのなら、公正に扱わないといけない。

 芸術助成において、国は「お金…

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