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 ジョーカーにとって、殺しはジョークです。当然まったく笑えないですけど、本人は最高に可笑(おか)しいと思ってる。コメディアン志望なのに笑いのセンスも才能も壊滅的にない、そんな哀れな男が、あらゆる人間に裏切られ、この世のすべてに絶望した果てに、殺しという「最高のネタ」を発見します。悲劇は喜劇に、喜劇は悲劇に。10月4日公開の米映画「ジョーカー」は、ピエロメイクの快楽犯罪者の裏にそんな陰影の濃いドラマを展開します。

 アメコミの有名キャラクターを主人公にしたハリウッドの娯楽作がベネチア国際映画祭で最高賞の金獅子賞を獲得した、ということで話題となりましたが、ベネチアはおととし我らがギレルモ・デル・トロ監督の「シェイプ・オブ・ウォーター」に金獅子賞をあげています。半魚人映画がもらうくらいだから、殺人ピエロ映画がかっさらっても不思議はありません。インタビューしたデル・トロ監督はこう言いました。「高尚なアートとポップカルチャーが、たまに美しい融合を果たす時がある。片方が片方を疎外するのは良くないね。共存しなきゃ。多様性こそ文化の豊かさなんだから」

 デル・トロ監督は「半魚人との恋」というおとぎ話を信じられる舞台として1960年代を選びましたが、本作のトッド・フィリップス監督(スコット・シルバーと共同で脚本も)が選んだのは1980年代初頭。格差や怒りや絶望にある種のウェットで生々しい人間味を持たせられると感じたからでしょう。ちょっとケバいけどくすんだ感じの色調、ゴミやサビや落書きだらけの風景が合わさって、1970年代~80年代初めの映画っぽいムードが濃厚です。会見でフィリップス監督は当時の映画が参考になったとして、「カッコーの巣の上で」「タクシードライバー」「セルピコ」「レイジング・ブル」「キング・オブ・コメディ」を挙げていました。逆に言えば、ジョーカー誕生秘話というガワを使って、中身はこれらの映画のような深いドラマに、というもくろみ。

 この物語で「うまいな」とうな…

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