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 奈良の名宝を一堂に集めた「奈良―日本の信仰と美のはじまり」展(奈良県・大英博物館主催、朝日新聞社など特別協力)が開催中のロンドン・大英博物館で4日、仏教を主なテーマにした国際シンポジウムが開かれた。東大寺の狹川普文(さがわふもん)別当(住職)と唐招提寺の西山明彦(みょうげん)長老(住職)が約80人を前に寺の役割や課題について語り合った。

 狹川さんは「寺院はテーマパークであってはならない。人々の深い所にどのように訴えるかが我々の使命」。西山さんは「信者が少なくなり、寺の維持が大変。人々の宗教への期待に人員的に応えることが難しい」と話した。対談を聞いたロンドン在住のバーバラ・エイブラハムさん(64)は「2人ともコミュニケーションが上手。それぞれの個性を見て取れました」。

 夜にはロンドン中心部にある日本文化の発信拠点ジャパン・ハウスで、春日大社の巫女(みこ)が神楽を披露した。約150人の観客が見守った。花山院弘匡(かさんのいんひろただ)宮司が「春日大社の神楽の歴史は古く、手を顔の高さまでしかあげないのが特徴」と紹介したのち、大社の象徴である藤のかんざしをかざした巫女が無駄のない動きで舞った。その後、丹生(にう)川上神社の境内をドローンで撮った映像が流された。日下康寛宮司は「祈りの文化を体験しに日本にお越しください」と呼びかけた。

 ロンドン在住のマーガレット・ジェニングスさんは「神楽はゆっくりなリズムがよかった。現代はスピード社会。古来からのリズムだと、私たちは深く考えることができる」。ロンドンの会社員ヒレン・バダーさん(33)は「奈良市は行ったことがあるけど、丹生川上神社の境内の美しい自然を見て、吉野にも行きたくなった」と話した。(ロンドン=根本晃)