幼児教育・保育の無償化が10月1日から始まる。すべての3~5歳児と住民税非課税世帯の0~2歳児が対象で、子育て世帯の経済的負担を軽くするのが狙いだが、岩手県内では受け皿となる保育士が特に足りていない。無償化により保育ニーズが高まり、思うように入園できないケースが増える懸念もあり、保育の現場からは保育士の確保や待遇改善を求める声が上がる。
紫波中央駅周辺の開発で人口が増えている紫波町。「保育士がもっといれば……」。駅近くにあるオガール保育園の園長の女性(70)は最近、入園を希望する親にこう答える機会が増えた。園児は140人あまり。定員は150人だが保育士が足りず、今の人数が限界だ。常勤のスタッフがあと3人ほど必要だが、求人をかけても応募はなく、今夏から県内の大学で説明会を始めた。「無償化よりも、預け先が見つからない人への対策が先では」と首をかしげる。
この保育園だけでなく、保育士不足は県内で慢性化している。岩手労働局によると、今年7月の保育士の有効求人数411人に対し、求職者数は208人。ここ1年は有効求人倍率は2倍前後で推移している。
一方で待機児童の問題がある…