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 オーストリア総選挙(国民議会、定数183)が29日投票され、中道右派・国民党が大差で勝利し、前政権で連立相手だった右翼・自由党は前党首の不祥事の影響で大きく後退した。自由党は、野党にとどまる意向を表明。環境問題への関心の高まりを背景に、緑の党が躍進し、国民党の連立相手として浮上した。

 国民党党首のクルツ前首相は、33歳にして2度目の首相登板が濃厚となり、29日夜に勝利集会で「国を率いる大きな責任を負った」と演説した。近くファンダーベレン大統領から組閣の指示を受け、連立交渉を本格化させる。すべての党と話し合うとしている。

 開票結果に未集計の不在者投票分を加味した予測によると、国民党は前回2年前から5ポイント程度伸ばして得票率見通し37・1%。中道左派・社会民主党は21・7%と史上最低の水準で、自由党は16・1%で10ポイント近く落とした。緑の党は史上最高の14・0%に伸ばした。郵便投票などを含む確定得票が発表されるのは10月3日になる見通し。

 自由党は「反イスラム」「反移民」を掲げて欧州で台頭する右派勢力の代表格。国民党とは政策的に近いため、再連立するかどうかが注目されていた。一方、国民党と緑の党とは政策の隔たりが大きく、交渉には時間がかかりそうだ。

 今回の総選挙は、5月に副首相で自由党党首だったシュトラッヘ氏がロシア人投資家と称する女性に便宜供与を約束するなどした過去の映像が暴露され、国民党・自由党の連立政権が崩壊したため前倒しされた。(ウィーン=吉武祐)