甲斐江里子、安田琢典、山下奈緒子
三重県伊勢市で開催された「伊勢市美術展覧会」で、主催する市と市教育委員会が慰安婦を表現した少女像の写真を使った出展作品を展示不許可にした。あいちトリエンナーレの不自由展が抗議や脅迫で一時中止された余波が、ほかの芸術活動にも広がっている。
作者は伊勢市在住のグラフィックデザイナー、花井利彦さん(64)。グラフィック作品(縦約70センチ、横約50センチ)の左上に少女像の写真(縦約20センチ、横約10センチ)をコラージュし「私は誰ですか」というタイトルで出展した。石を持つ赤い手が描かれ、「少女像がメインではない」と話す。黒の粘着テープで隠すなどしたが不許可は変わらなかった。
市教委によると、展覧会は10月29日~11月3日の日程で、市民や運営にも携わる芸術家の運営委員らが出展した平面造形、立体造形、書道など257点を展示。運営委員の一人である花井さんの作品だけ展示を認めなかった。市教委は運営委員の意見や弁護士らの助言を参考に展示の可否を検討。花井さんには開催前日の10月28日、展示しない方針を伝えたという。鈴木健一市長は報道陣に、一時中止になった国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」の混乱を引き合いに出し、「会場の安全を最優先した」と説明した。
市教委の担当者は「表現の自由を尊重すべきだとはわかるが、作品には少女像が描かれており、騒動が懸念された」と説明。花井さんは「これは検閲だ。内容によって展示が禁止されれば、多種多様な表現をしたい若い世代が萎縮する。芸術に制約があってはいけない」と訴える。
予定していたプログラムを中止…
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