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 無償化に伴い、利用料を値上げします――。10月から始まった幼児教育・保育の無償化に伴い、子どもを通わせる幼稚園や保育園などから値上げを告げられ、困惑している保護者がいる。よりよい運営のためという園がある一方、十分な説明がなく、「便乗」を疑う声も上がっている。

上限額まで授業料を値上げ

 名古屋市の30代の女性は9月上旬、子どもが通う私立幼稚園から「おねがい――10月からの授業料無償化について――」と題した文書を受け取った。10月以降、毎月の授業料をこれまでの「2万3700円(給食費込み)」から、「授業料2万5700円、給食費4500円」にするという内容だった。

 値上げ後の授業料2万5700円は、今回の無償化で幼稚園の園児1人当たりが無料になる上限額。トータルでは6500円の値上げ通告だったが、園に聞いても「使いみちを保護者に伝える義務はない」と応じてくれない。

 認可保育園や認定こども園などの利用料は市区町村が決める。一方、この幼稚園のように、「子ども・子育て支援新制度」に移行しない幼稚園や認可外保育園は、利用料を自由に設定できる。

 女性らが重ねて説明を求めても園側は「もらわないと国が持っていっちゃう」などと言うだけだった。女性は「子育て世帯への支援名目で消費税を増税し、この先、負担していくのは子どもたち。限られた財源が経営者の懐に入ってしまうような使われ方は許されない」と憤る。

 愛知県によると、県内の私立幼稚園360園のうち、10月に授業料を上げるのは、少なくとも20園(9月20日時点)。99園は今年4月にすでに引き上げ、58園は来春の引き上げを予定している。

国も引き上げの実態調査

 ただ、値上げが即「便乗」とも言えない。

 兵庫県のある私立幼稚園は今春、授業料を3千円上げて1万6千円にした。来春にはさらに2千円上げる。子どもにより目が行き届くよう、新たに職員を採用し、基本給も上げたためだ。

 厚生労働省は9月27日、認可外保育園の「便乗値上げ」について事実確認と指導を行うように自治体に通知。文部科学省も、私立幼稚園の入園料や授業料の値上げの状況を調査しており、結果を年内にも公表する方針だ。(栗田優美、伊藤舞虹)

(用語解説)幼児教育・保育の無償化

 すべての3~5歳児と、住民税非課税世帯の0~2歳児が対象で、財源は消費税の増税分の一部が充てられる。認可保育園や認定こども園、2015年からの「子ども・子育て支援新制度」に移行した幼稚園は、原則無料になる。移行していない幼稚園は月2万5700円まで、認可外保育園は3~5歳児の場合月3万7千円まで補助が出る。昨年4月時点で新制度に移行した幼稚園は全体の4割強の3271園。

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