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 南米ベネズエラの駐日大使や、大使館員が開設している邦銀の口座が、9月に事実上凍結されたことが分かった。銀行側は米トランプ政権によるベネズエラへの経済制裁を理由に挙げているが、大使は「第三国である日本の銀行が、米国の制裁を理由に、外交官の保護義務を定めたウィーン条約に違反するのは理解できない」と批判している。

 事実上凍結されたのは、セイコウ・イシカワ大使や日本人の妻、大使館員ら5人のSMBC信託銀行の口座。ネットバンキングやATMの利用ができなくなった。銀行に問い合わせたところ、「トランプ政権の制裁のため」と説明されたという。大使館を訪問した同行広尾支店の副支店長は、8月5日にトランプ米大統領が発令した大統領令で、ベネズエラ政府関係者による米ドル取引が禁じられたことを受け、「取引の一部がこの規制に抵触する懸念が生じる」と判断した、と説明したという。

 イシカワ大使は、両親が日本人の日系2世。妻は日本人で、4人の子どもも日本国籍を有する。大使は「ベネズエラ人の外交官だけでなく、日本人である妻子に対しても人権侵害だ」と批判。外交官の便益や特権を定めるウィーン条約に「違反している」と語る。

 子どもの学費の支払いやクレジットカードなどの引き落としもできなくなったため、大使が日本の外務省などに働きかけた結果、10月3日に銀行から「円の口座は使えるようにする」と伝えられた。だが米ドル口座はそのままという。大使が5日、ネットバンキングを試したところ、円口座は使えたが、米ドル口座は使えないままという。

 朝日新聞の取材に同行は「個別取引については回答を差し控える」としながら、米財務省の規制に違反しないかを調べるための措置と説明。窓口で取引内容を証明できる書類の提出を受け、内容を確認した上で取引は行っており、完全な凍結ではないとしている。だが大使館によると、家賃の支払いなどが窓口で4時間かかった大使館員もいるという。

 外務省は朝日新聞の取材に対し…

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