拡大する写真・図版 「太陽Ⅰ」の一場面。横たわる父を囲み、奇妙な生き物たちが儀式を執り行う=2019年10月、京都市中京区

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 最愛のあなたを冒すがん細胞は、あなた自身だった――。自身の顔や体の一部とCGをコラージュする手法で映像作品を発表してきた美術家・笹岡由梨子の個展が、京都市中京区の同時代ギャラリーで開かれている。ポップな印象の後にざらりとした違和感が残る作品は善と悪、自己と他者の概念を相対化し、普遍的な思考へと見る者を誘う。

 公開中の新作は、自身の父親ががんを患った経験に基づくビデオ作品「太陽Ⅰ」を中心としたインスタレーション。

 映像では、手術前日に滞在先のポーランドでつづった父への手紙が現地語で読み上げられる中、パフォーマーの体に笹岡の顔や手を合成したキャラクターたちがよみがえりの儀式を執り行う。その頭上では、「太陽がえぐれたような形」をしているというがん細胞が輝いている。

 二つの顔によって表されたがん細胞は時おり、数をかぞえる。体力測定のシャトルランをイメージしたという音声は、時間を操る呪術を思わせると同時に、現代医療によるがんの切除と治癒へと向かうカウントダウンでもある。

 「原始、私は太陽であった」と…

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