9月29日、ソプラノ歌手の佐藤しのぶさんが61歳で亡くなった。軽みのある美声でありながら、ビブラートには聴く者をひきつけずにおかない独特の凄(すご)みがあった。ストーリーを知らなくても、歌詞の意味がわからなくても、声の力で作品の神髄を届けることがきっとできるはず。芸術の世界の前に、誰をも排除しない。そんな信念を感じさせる芯の通った舞台姿が、クラシックという枠を超え多くの人々の心に触れた。

 社会貢献にも格別の情熱を傾けた。被災者のためのチャリティー公演や「母の日に贈るコンサート」を自ら企画。普段はクラシックから縁遠いけれど、本当は芸術を必要としている人々のために歌うことが、この人の人生そのものとなる。

 1958年、東京生まれ。その人生はそのまま日本のオペラの成熟、大衆化の過程と重なる。56年からNHKがイタリアから本格的に指揮者、演出家、歌手を招聘(しょうへい)し、本格的にオペラ上演に乗り出す。一般の人々がベルカントの声の力に目覚めはじめる、そんな時代の申し子だった。

 それと平行するように、日本人…

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