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 台風15号で傷つき、捨てられてしまう運命にある野菜や果物を救いたい――。千葉県佐倉市の男性らが、「チバベジ」と銘打って被災農家の支援活動を展開している。開始から3週間。支援の輪は様々に広がりを見せている。

 佐倉市でゲストハウス「おもてなしラボ」を経営する鳥海孝範さん(44)。もともと、まだ食べられる食品が廃棄される「食品ロス」に関心が高く、今回の台風でも、出荷できない野菜が捨てられるのではないかと危ぶんだ。

 台風から3日後の9月12日、鳥海さんは知人の紹介で四街道市の梨農家を訪れ、暴風で傷がついたり、色づきが悪かったりする梨約400キロを買い取った。

 山武市や八街市、富里市でも、多くの生産者が倒壊したビニールハウスの撤去に追われ、傷がついたトマトやナス、ピーマンは出荷の機会を失った。鳥海さんらは野菜を預かり、売上代金を生産者に届けた。

 自身のゲストハウスで販売するほか、佐倉市内で飲食店を営む仲間が買い取って、ジャムやソース、ピクルスなどに加工して使ったり、販売してくれたりした。レシピをSNSで紹介する店もある。活動を始めて10日間で、鳥海さんらは計2400キロ分を完売させたという。

 2日に1度のペースで50~60キロのトマトを鳥海さんに託した山武市の船木輝夫さん(51)は、28棟あるビニールハウスのうち11棟で骨組みが壊れ、復旧作業に忙しい。「キズがあっても味は変わらないので、引き受けてもらってありがたい」と話す。

 インターネットを通じて資金調達するクラウドファンディングも始めた。災害時に野菜を廃棄させず、生産者が持続可能な農業の仕組みづくりを目指す。

 一緒に活動する地域プランナーの安藤共人さん(35)=千葉市稲毛区=と2人で中心となって、近く一般社団法人「野菜がつくる未来のカタチ」を設立する予定だ。「被災農家の支援から、新しい農業の形を作れたら。将来は、旬を味わえる野菜を作る新規就農者を地域で支えたい」と構想を膨らませる。(熊井洋美)