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エネルギーを語ろう

 東京電力福島第一原発事故をめぐり強制起訴された旧経営陣3人に対し、東京地裁は9月19日、無罪とする判決を言い渡しました。市民シンクタンク「原子力市民委員会」メンバーの筒井哲郎氏は、この判決を強く批判しています。近著「原発フェイドアウト」(緑風出版)でも、原発が抱える根本的なリスクに改めて警告を発しました。プラント技術者の筒井さんから見える原発の問題点はどこにあるのか。話を聞きました。(聞き手=小森敦司)

電力やエネルギーの姿が国内外で大きく変わりつつあります。何が起きていて、どこに向かうのか。「エネルギーを語ろう」では、さまざまな識者へのインタビューを通じて、その行く先を探っています。

石油・化学プラントとは違う

 ――東京地裁の「3人無罪」の判決をどう受け止めますか。

 「原発が過酷事故を起こした時の被害の大きさへの理解が、裁判所には決定的に足りない、と感じました。東日本大震災の直後、コスモ石油千葉製油所(千葉県市原市)で火災爆発事故が起きたのを覚えていますか。鎮火まで10日間かかりましたが、周辺の住民にほとんど被害はありませんでした。石油・化学プラントはもともと可燃物で満ちた装置ですが、火災はいずれ鎮火します。対して原発事故はどうですか。福島第一原発事故では、今も避難を余儀なくされている人々がいます。東日本全域が居住不能になる可能性さえありました。被害は桁違いに大きいのです」

 「事故前、勝俣恒久・元会長らが出席した社内会合では、津波を伴う巨大地震の予測が議論されていました。でも、判決は、他の電力会社も予測を全面的には採り入れてないなどとして、対策をすべきだったとする検察官役の指定弁護士の主張を退けました。しかし、石油・化学プラントよりとてつもなく大きなリスクを抱える原発です。すこしでもその可能性があるなら、首脳は『どうなっているんだ』と、積極的にリスクを聞き出して対処すべきなのです。社内連絡の不備で明瞭な説明がなかったといって責任を免れるなら、危険に耳を覆う経営者が無罪になってしまいます」

「無限の対策はできない」のか

 ――元プラント技術者の目からみた東電の津波対策はどうですか。

 「私は原発事故の集団賠償訴訟…

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