森下裕介
家庭内暴力(DV)を受けた被害者の転居先を、自治体が過って漏らしてしまう例が相次いでいる。朝日新聞の調べでは、加害者に転居先を知られないようにする「DV等支援措置」が認められたのに住所が漏洩(ろうえい)した件数は、この10年間で40件を超える。総務省は全国の自治体に通知を出し、手続きの徹底を求めているが、漏洩が後を絶たない。
DV被害者らの住所漏洩をめぐる公的な統計はない。朝日新聞がこの10年間に報道された事例(他紙を含む)に基づいて各自治体に取材したところ、少なくとも26都道府県の41自治体で計46件起こっていた。今年だけで8件。昨年の7件をすでに上回っている。
漏洩の原因は2種類に大別される。目立つのが、自治体部署間の連携や情報の共有不足だ。
大阪府枚方市は今年5月、夫からのDVから逃れようとした女性の転居先を夫に漏らした。漏洩の一因は、住民基本台帳の担当者と、所得証明書の担当者の連携不足だった。
市は、住民票の交付を求められた場合は、住民票を管理する住民基本台帳システムに女性がDV被害者だと示す警告文を表示するようにしていた。だが、夫から交付を求められたのは所得証明書。転居先が記されているものの、警告表示が出なかったため、住民基本台帳システムで確認しないまま、過って交付した。
仙台市が2010年8月、DV被害者の女性の転居先を加害者である夫に漏らしたケースは、支援措置の窓口である住民基本台帳の担当課と、子ども手当の部署で情報共有が不足していたことが原因だった。
女性は夫からDV被害を受けて避難するために住所変更の準備を進めていたが、その情報が部署間で共有されていなかった。子ども手当の担当職員が女性だけ転居するのを疑問に思って夫に問い合わせ、やりとりの中で女性の転居先を夫に教えてしまった。
部署間で共有する支援措置対象…
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朝日新聞社会部