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 空海が日本で最初に創建したと伝わる福岡市博多区にある東長寺の本堂が、福岡の自然を撮影した大きな写真に包まれている。韓国・ソウル在住の現代芸術家ハン・ソンピルさん(47)が福岡市に2カ月間滞在して創りあげた。「いまの日韓関係の癒やしになれば」と話している。

 大きなハスの花、しぶきをあげる滝――。まるで本堂の外壁が展覧会場になったように高さ4・5メートル、幅3メートルの巨大な写真パネル6枚が本堂正面の柱の間に設置された。11日に始まった「博多旧市街まるごとミュージアム2019」の出品作「深緑の楽園―福岡」。夜はライトアップされ、より幻想的な雰囲気を醸し出す。

 ソンピルさんは04年から世界各地で大型インスタレーションを展開している作家だ。大きな作品を展示することで都市空間の雰囲気を一変させることを得意とする。

 今年5月、福岡アジア美術館(福岡市博多区)の「アーティスト・イン・レジデンス」に招かれて制作した。アジアの美術作家らが福岡に滞在しながら市民との共同制作やワークショップなどを通して交流する事業で、開館以来20年続いている。

 美術館やボランティアの支援のもと、福岡市の脊振山、油山、大濠公園のほか新宮町の相島、八女市、飯塚市などに足を延ばした。福岡の歴史や文化を知り、自然に関心を向けるような写真を撮影した。

 パネルは各地で撮影した写真を幾層にも重ねて創作している。相島には江戸時代、朝鮮通信使が11回も訪れている。溶岩が冷え固まる時にできる割れ目模様が特徴である、島の柱状節理をパネルにした。「写真のイメージの裏に福岡とアジアの文化的・歴史的なかかわりを示したかった」

 「まるごとミュージアム」には、ソンピルさんのほかベトナム、マレーシア、台湾、日本から7組のアーティストが参加。博多旧市街の五つの古寺を舞台にアート作品を出品したりダンスを披露したりする。「文化交流があることでお互いの理解が進む。昨今、日韓関係がよろしくないなかで実現できたのはとてもうれしい」。14日まで。期間中、午後6時以降の入場は1500円。(上林格)