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 台風15号が千葉県に上陸してから、9日で1カ月になる。長引いた停電や家屋損壊による雨漏りで、体調を崩す人が相次ぐ。そんな中、自ら被災しながらも、地域の力になろうと動いた人たちがいた。支え合ってきた被災者だが、新たな台風の接近に心配を募らせている。

 「電気が通っても、長引く被災生活で体調を崩す人が相次いでいる」。千葉県南房総市の海の近くにある診療所院長、生方英一さん(61)の表情は厳しい。

 この1カ月、風邪とみられる患者は例年の10倍以上の約50人。長引いた停電や、雨漏りでカビがはえた自宅での生活で、体調を崩した人が多いという。

 9月9日朝、出勤すると看板が飛ばされていた。電柱が折れて診療所に倒れかかっている。一帯は停電。そんな中、糖尿病や高血圧の薬を求める患者が次々とやってきた。

 「薬が切れたら命に関わる。休むわけにはいかない」。外壁に「診療中」と書いた紙を貼った。薄暗いなか、ペンライトを手に診察を続けた。

 当初は熱中症を訴える患者が相次いだ。自宅で倒れた95歳の男性は「診察をやっていたら」と孫の車で連れられてきた。点滴し、ベッドの男性の枕元には電池で動く小型の扇風機を置いた。「停電で冷房が使えなかったのは、厳しかった」と生方さん。男性は自力で歩けるまで回復した。

 自宅も医院も2週間近く停電したが、診療は普段通り続けた。患者からは「助かった」という言葉をかけられた。「停電でも何とかやれた。次に災害が起きても、1人になったとしても診療はやる」

 千葉県市原市の山々に囲まれた地域。ケアマネジャー相川啓美(ひろみ)さん(41)はお年寄りの家を回りながら、心配している。

 「しばらくは携帯も固定電話も使えず、救急車すら呼べない状況だった。また台風が来る」

 子ども3人を含め6人暮らし。9月9日未明、自宅の廊下に水が入り、朝までかき出す作業に追われた。倉庫の屋根は半分以上が壊れ、自宅は約10日間、停電した。今も片付けは終わっていない。

 毎日20軒近く、お年寄り宅を…

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