愛知)自動織機を発明、豊田佐吉の生涯を小説に
松永佳伸
自動織機などを開発したトヨタグループ創始者、豊田佐吉(1867~1930)の生涯をつづった小説「やらまいか 豊田佐吉傳(でん)(上・下巻)」が出版された。名古屋市西区の北見昌朗=ペンネーム・北路透(きたみちとおる)=さん(60)が、労務コンサルタント業の傍ら約10年かけて書き上げた。成功と挫折を繰り返しながら発明を続けた佐吉と、支援者や家族らの人間模様が描かれている。
佐吉は現在の静岡県湖西市で生まれた。母親が苦労しながら機織りをする姿を見ていたことから、1895年に日本初の動力織機の発明に成功したが、多額の借金を背負う。翌年、名古屋市中区に機屋「豊田商店」を開業し、妻・浅子が工場を切り盛りして経営を支えた。織機の設計図を社員に盗まれたり、特許違反で訴えられたりしながら、1924年に長男の喜一郎とともに「G型自動織機」を発明し、世界を席巻した。
北見さんは、これまでビジネス関連の書籍を執筆してきたが、「郷土の偉人の歴史を掘り下げてみたかった」と、初めて経済歴史小説に取り組んだ。100冊以上の関連書籍や地図を収集、分析。上巻は「母子の金字塔」、下巻は「病との闘い」と題し、敵対した人物のほか、家族や支援者との人間関係を通して、トヨタグループの礎を築いた佐吉の人生をフィクションを交えて描いた。
古い町名にもこだわり、遠州…
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