トランプ流政治ショーと日本の苦境 遠い自由貿易の理想
北見英城 大日向寛文 ワシントン=青山直篤 金成隆一
日米貿易協定が、実質半年間の交渉で署名に至った。日本側は米国向け乗用車の関税撤廃を勝ち取れず、日本向け農産物の関税引き下げを急がせたトランプ米大統領の意図を色濃く反映した決着となった。自由貿易協定としてのレベルも高いとは言えず、日本が掲げた「自由貿易の旗手」との理想は色あせている。
公表された協定文からは、日本が米国のかたくなな姿勢を崩せなかった、苦境の交渉が浮かぶ。
日本側にとって大きな焦点だった米国向け輸出乗用車の関税撤廃。交渉関係者によると、今年4月に本格交渉を始めて以降、ライトハイザー米通商代表は「マーケットアクセス(市場参入)の拡大」といった抽象的な文言にとどめることを求めた。これに対し、茂木敏充経済再生相(当時)が「『撤廃』の表現がないと(日本)国内(の説明)がもたない」と迫り続けた。
結局、米国が公表した英語の…