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魔法のやかん

 カナダのレジェンドは、記念の試合でトライを奪えなかった。ラグビー・ワールドカップ(W杯)に4大会連続出場のウィング、DTH・ファンデルメルビは8日の南アフリカ戦(神戸)で、カナダの最多出場記録を塗り替える通算15試合目のグラウンドに立った。

 カナダが強豪の南アと対戦するのは2000年以来19年ぶり。06年にカナダ代表入りした南ア出身のファンデルメルビにとって、大舞台でようやく巡ってきた母国との対戦だった。しかも、ブライアン・リマ(サモア)やブライアン・オドリスコル(アイルランド)らに続く史上5人目の4大会連続トライの偉業がかかっていた。

 惜しい場面はあった。前半34分、スタンドオフからのキックパスを相手ゴール前で競り合った。両腕に収まりかけたボールは、相手に邪魔され、こぼれ落ちた。「もちろん特別な思いはあった。でも、自分の記録よりも勝利が大切だった」。7―66で敗れた後、ファンデルメルビは言った。

 右腕に妻と3人の子どものイニシャルを、左腕には「CPT GREENE」と書いたテーピングを巻き、試合に臨む。カナダのラグビー選手だったキャプテン・トレバー・グリーン氏のことだ。06年に従軍していたアフガニスタンで重体となった。村人と会話するためにヘルメットを脱いだところ、後頭部を襲われた。意識不明が続いたが、奇跡的に回復できたという。

 彼の著書を読んだファンデルメ…

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