少女像、日本糾弾ではない意図 理解の鍵は「民衆美術」
聞き手・高重治香
あいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」の展示が、8日再開された。中止前に多くの脅迫やクレームを受けたのが、韓国人の彫刻家夫妻による「平和の少女像」だ。夫妻は、かつて韓国で弾圧されていた「民衆美術」というジャンルの作家だ。朝鮮美術文化を研究する古川美佳さん(女子美術大非常勤講師)に少女像の背景について聞いた。
民衆美術と少女像
――少女像の作者は、「民衆美術」というジャンルの出身だそうですね。日本ではあまり聞かない言葉ですが、それを知ることで、少女像についての見方が変わるのでしょうか。
「民衆美術というのは、軍事独裁政権と闘う民主化運動に呼応して生まれた美術です。それを踏まえれば、少女像の作者にとって、韓国という国家は、自分を重ねる対象というよりむしろ抵抗の対象にもなります。夫妻は、ベトナム戦争中に韓国軍がベトナムで行った民間人虐殺を反省し、悼む像も作っていて、『反日』や『ナショナリズム』で動いているわけではないのです」
――日本では、韓国の国家としての政策と、「少女像」とが、一体になって日本を「糾弾」していると感じて反発を覚える人もいます。
「少女像は、元慰安婦の女性…