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 ハブなどを退治するために沖縄本島に持ち込まれたマングース。どんどん繁殖して本島北部まで進出し、国の天然記念物ヤンバルクイナなど希少な生物を食べるようになった。沖縄県や環境省は駆除に取り組み、希少な生物が多い北部での根絶まで、あと一歩のところまで来ている。

 本島北部、やんばるの森を歩くと、ところどころに灰色のT字形のパイプが目につく。マングースを捕獲するための筒わなだ。狭い所に頭を突っ込む性質を利用し、捕殺する。県と環境省はやんばるの森に、かごわなと合わせ、約2万個を置く。

 県によると、マングースが持ち込まれたのは、1910(明治43)年。那覇市などに17頭が放たれた。それがどんどん繁殖して南部で定着し、90年代には、本島北部の大宜味村の塩屋湾と、東村の福地ダムを結ぶ線を越え、やんばるの森に入ったと考えられている。

 元々はハブやネズミ退治が期待されたが、ハブは猛毒を持ち攻撃的。しかも夜行性のため、昼に活動するマングースが捕食することはあまりなかったらしい。代わりに犠牲になったのが、ヤンバルクイナをはじめ、豊かなやんばるの森にすむ希少な生物だった。

 県は2000年度、環境省も01年度から北部での防除に取り組んだ。捕獲を進めるとともに、中南部から北部に移動できないよう、北上防止柵を3カ所(それぞれ長さ4・1キロ、6キロ、6・7キロ)を設けた。わなを仕掛けて点検する「マングースバスターズ」や、探索犬も活動を続けている。

 北部での捕獲数は年々増え、07年度には619頭に。だがこれをピークに減少傾向になり、18年度は29頭で、ピーク時の20分の1未満に。最北部の国頭(くにがみ)村での捕獲はゼロだった。

 ただ、ヤンバルクイナやケナガネズミなど希少な生物もわなにかかり、一部は死んでいる。

 県と環境省は26年度までに、北部で完全排除する計画を立てている。県自然保護課の神谷大二郎主任技師は「今のところ、防除計画は順調で、完全排除までもう一息というところまで来ている」と話している。(伊東聖)

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 沖縄にいる記者が、日頃のくらしの中で見たこと、感じたこと、面白いと思ったことをつづります。

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 いとう・せい 1971年、長崎市生まれ。93年に入社し、山口や福岡、長崎で勤務。警視庁キャップ、東京社会部や西部報道センターのデスクを経て2018年4月から那覇総局長。沖縄での勤務は10年ぶり2回目。フルマラソンの自己ベストは3時間8分。