編集委員・石飛徳樹
映画が始まってすぐ、大型スーパーの売り場が俯瞰(ふかん)で映される。無数の買い物客や店員の中で、最も奥にいる豆粒のような背中に瞬時に目が行った。あ、あそこに吉永小百合がいる!
それがスターのオーラだと言いたいわけではない。他の人々がみんな動いているのに、一人だけ微動だにしていない。そうすると、とても目に付くのだ。
カメラが次第に彼女に近づくが、その背中は全く動かない。それだけでただならぬ状況だと分かる。「あの場面は犬童(一心)監督も凝っていました」
作品は、吉永と天海祐希が主演する「最高の人生の見つけ方」。同名のハリウッド映画の日本版だ。モーガン・フリーマンが演じた自動車整備工に当たる役を吉永が、ジャック・ニコルソンの大富豪に当たる役を天海が演じている。
今作で吉永が演じた北原幸枝はその日、がんで余命宣告を受けたばかりだった。
「うんと地味に、抑えて抑えて演じました」
固まった背中の演技が彼女の心情を表す。
「夢は笠智衆さんのように、背…
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