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 ノルウェーのノーベル委員会は11日、2019年のノーベル平和賞を、エリトリアとの国境をめぐる対立に終止符を打ち、近隣国間の紛争解決を仲介してきたエチオピアのアビー・アハメド・アリ首相(43)に贈ると発表した。授賞理由に、国境紛争の解決を主導し、平和と国際協力に向けて努力したことを挙げた。

 エチオピアでは1993年に同国から独立したエリトリアと、国境線などをめぐる争いが続き、98年に武力衝突に発展。約10万人が犠牲になった。

 アビー氏は18年4月、首相に就任。国境紛争の仲裁のため02年にオランダ・ハーグに設置された委員会が定めた境界線の受け入れを表明した。エリトリアのイサイアス大統領もこれを歓迎し、18年7月には約20年ぶりとなる両国の首脳会談をエリトリアの首都アスマラで実現させ、両国の外交関係が再開した。

 また、アビー氏はエリトリアとジブチの国交正常化や、ケニアとソマリアの和解への動きなど、東・北東アフリカの国家間の緊張緩和に取り組んできた。

 自国内では経済の自由化を進め、前政権時代に拘束されていた政治犯らを解放するなど改革を進めるが、課題はなお多い。今年6月には一部の軍兵士によるクーデター未遂が発生、軍参謀総長らが殺害された。民族間の争いや土地や資源をめぐる対立も残る。今回の授賞は、困難のなか、改革を進める努力を後押しするねらいがある。ノーベル委員会のライスアンデシェン委員長は取材に「エリトリアとの和平だけでなく、平和で民主的な指導の努力全体への授与だ」と語った。

 ノーベル委員会に対しアビー氏は「アフリカ大陸、エチオピアに与えられた賞であり、他の国の指導者も大陸の平和構築に向け、前向きに受け止めるだろう」と電話で語ったという。

 今年の平和賞は、過去4番目に多い計301候補(223人、78団体)の中から選ばれた。賞金は900万スウェーデンクローナ(約1億円)。授賞式は12月10日にオスロである。(オスロ=下司佳代子)