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 台風19号が12日に関東地方に上陸するおそれが高まったことを受け、埼玉県内でも11日、鉄道の運転見合わせや店舗の臨時休業などが相次いで発表された。自主避難者の受け入れ場所の準備も各自治体で進められた。

 熊谷地方気象台によると、県内に最接近するのは12日午後6時以降。13日にかけて警報級の大雨や暴風が予想される。

 県は11日、幹部らが集まり対応を協議。被害状況などの情報は待たずに自ら取りに行く「プッシュ型」で収集し、被害が甚大な場合は自衛隊の派遣を要請することなどを確認した。

 県によると、大雨注意報・警報で情報連絡室を設置して水防体制を整え、被害情報の収集などを行う。12日午前10時に災害即応室を設置。900人以上の態勢で全庁をあげて警戒態勢に入る。

 また、県選挙管理委員会によると、久喜市、東松山市、上里町が12日または13日に参院埼玉選挙区補欠選挙の期日前投票所を閉鎖したり、開場時間を短縮したりする。

 鉄道はJR東日本が湘南新宿ラインや上野東京ライン、特急「草津」などを12日に終日運休にすると発表。正午ごろからは京浜東北、埼京、川越など各線も運休する。東武鉄道もスカイツリーライン、伊勢崎線、日光線、野田線、東上線、越生線で12日午前11時ごろから順次運転本数を減らし、午後1時ごろから運転を取りやめる。三郷、八潮両市を走るつくばエクスプレスも12日午後1時以降、全線で運転を取りやめる。

 休業なども相次ぐ。川越市では市医師会夜間休日診療所が12日夜の夜間診療(午後8時~10時)を臨時休診。急な病気やけがの場合は、県救急電話相談(#7119または048・824・4199)で対応する。イトーヨーカドーは県内全19店舗を含む首都圏の店舗を12日に臨時休業。伊勢丹浦和店やそごう大宮店も同日、臨時休業する。

 県こども動物自然公園(東松山市)も12日に臨時閉園。13日は、午後から開園できるか当日朝に判断する。動物は飼育舎など建物内へ避難させる。11日は園内ののぼり旗や案内看板、チェーン付きポールなどを片付ける作業に追われた。東武動物公園(宮代町)も12、13の両日、国営武蔵丘陵森林公園(滑川町、熊谷市)も12日に臨時閉園する。12日は、計約50万球のLEDイルミネーションで遊歩道沿いの木々やオブジェを飾る「森のハロウィンナイト」の初日だったが、開始を14日へ延期した。担当者は「見ごろの羽毛ゲイトウが倒れてしまわないか心配です」と話した。

 自主避難者向けの受け入れ施設については、さいたま市が12日午前10時から小中学校など計198カ所に開設する予定。川越市も入間川など5河川の流域を中心に18カ所を開設する。2017年の台風水害で400棟以上が床上床下浸水し、うち30棟近くが半壊した寺尾地区には職員8人を派遣して警戒にあたらせる。

 越谷市は市内12の地区センター・公民館を自主避難所とする。水害が発生した場合の土囊(どのう)配布については自治会単位で要望を受ける。朝霞市は11日午後4時に計5カ所に開設。上尾、春日部、草加、久喜市なども、すでに開設したり準備したりしている。

 ときがわ町は2カ所を避難所に指定し防災無線で避難を呼びかけることにしている。町内に県が指定する土砂災害警戒区域が約200カ所あるという。

 中止や延期のイベントなどはさらに数が増えた。多くの川に囲まれ、土地が低く水がたまりやすく、洪水被害を多く受けてきた県東部。それを防ぐための地下河川「首都圏外郭放水路」(春日部市)では、鬼怒川が氾濫(はんらん)した2015年9月の関東・東北豪雨の際、周辺の川から水を取り込み、過去最大の1900万トンを江戸川に排出したという。12日の見学会を中止し、職員は台風の接近に備えるという。蓮田市では上閏戸愛宕神社で予定されていた12日の県指定無形民俗文化財「閏戸の式三番」が翌週の19日に延期される。宮代、杉戸両町は13日の町民体育祭を、朝霞市も13日の市民総合体育大会を中止する。

 このほか、新座市で13、14日に開催予定だった「第44回産業フェスティバル」とビームライフル体験会、オリンピック・パラリンピックPRステージが中止に。富士見市は13日に市役所で予定されていたSTEM教育の実践フィールド「ロボットと未来研究会 富士見☆研究室」の発表会を延期し、20日に諏訪小学校で行う。

 熊谷市の妻沼滑空場で開催中の「第35回関東学生グライダー競技会」は14日までの競技日程のうち、11~13日の飛行中止を決めた。今のところ14日は競技をする予定だが、同滑空場は利根川の河川敷にあるため、大雨による冠水などがあると競技ができなくなる可能性もあるという。熊谷スポーツ文化公園(熊谷市上川上)で13日に開催予定だった「地元愛を育む」などをテーマにした音楽と食の祭典「熊谷圏オーガニックフェス2019」も中止になった。

 本庄市では約40の障害者施設や高齢者施設が12日、本庄総合公園体育館(同市北堀)の周辺にテントを張って手作りの小物や菓子などを展示・即売する予定だった「ふれ愛祭」が中止。

 深谷市の公園「緑の王国」(同市櫛引)で13日に開催予定だった「森の音楽祭」も中止になった。園内五つの屋外ステージで26組が吹奏楽やギター、尺八などの演奏を披露する予定だった。実施すれば11回目だったが、中止は初めて。

 秩父市吉田地区で13日に予定されている「龍勢祭」の開催会場では準備作業を1日早めて、代々伝承されてきた農民による手作りロケット「龍勢」の奉納を11日までに終えた。見物会場となる場所ではブルーシートを敷くなどの作業が続いた。主催者によると、開催の可否は13日午前6時に決定する。その時点で風速10メートル以上の強風がある場合は中止する。関係者は「風が強いと、龍勢が飛ばない。何とか風が弱まってほしい」と話し、やきもきしている。

 400年の伝統がある龍勢祭は市内にある椋神社の例大祭に合わせて行われる祭り。手作りロケットが打ち上がる様子が龍の昇天の姿に似ていることから「龍勢」と呼ばれており、国の重要無形民俗文化財に指定されている。