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 2013年からの生活保護支給額の大幅な引き下げは生存権を保障する憲法に違反するとして、全国29都道府県の1千人を超す生活保護利用者が国を訴えた集団訴訟が山場を迎えている。名古屋地裁では10日、国の審議会で生活保護の議論に長く携わった専門家が、原告側の証人として法廷に立った。注目された証言の内容とは。

「利用されたのかも」

 「財政削減のために、私たちは利用されたのかも知れない」

 岩田正美・日本女子大名誉教授は、そんな胸の思いを法廷で語った。岩田さんは貧困研究の第一人者として知られ、厚生労働省の社会保障審議会・生活保護基準部会で部会長代理を5年以上務めた経歴を持つ。その岩田さんが原告側の証人になることは注目され、10日は96席の傍聴席がほぼ埋まった。

 厚労省は13年8月から段階的に、生活保護のうち食費など生活費にあたる「生活扶助」の支給額を、全体で6・5%(670億円)削減した。削減幅は戦後最大。このうち580億円分は、08年から11年までの物価下落(4・78%)の反映(デフレ調整)と説明した。

 厚労省がこの削減方針を固めたのは13年1月。12年12月、生活保護の給付水準の原則1割カットを公約に掲げて自民党が政権復帰した翌月のことだ。

 岩田さんは11年から、生活保護の水準が適切かを検証する基準部会で部会長代理を務め、13年1月には部会として報告書をまとめた。報告書は、保護基準額と一般低所得世帯の消費支出とのバランスを検証する内容で、物価との関係は一切考察していない。

 10日に法廷で、基準部会はデフレ調整による大幅削減を容認していたかを問われ、岩田さんは「議論もしていないわけだから、容認などはしていない」と言い切り、「納得がいかない」と語った。厚労省から後日、その財政削減効果の報告を受け、「非常に大きな額だったので正直驚いた」と振り返った。その上で、デフレ調整をするなら基準部会で専門的な議論をすべきだったとの考えを示した。

■国「適切な見…

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