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 荒川と江戸川に囲まれ、土地が海面よりも低い「海抜ゼロメートル地帯」が7割を占める東京都江戸川区。あたりが白く見えるほど雨が強まり、浸水への不安が高まるなか、避難所には住民が次々と訪れ、肩を寄せ合った。

 小松川区民館に開設された避難所には12日午前8時半から徐々に住民が集まり、テレビの台風情報を見守っていた。「心細かったから、ほっとしました」。びしょぬれになりながら避難してきた市原セイ子さん(75)は、そう話した。

 耳に障害のある長男と2人暮らしで、自宅は川沿いの都営住宅の1階。過去の台風で勤め先の食堂が腰の高さまで浸水し、2階に避難した経験があり、初めて事前に避難した。「年寄りなので、雨や風が強くなる前に逃げないと大変」

 手塚悦子さんは暴風で窓ガラスが割れないか心配で、長男(7)、長女(5)とともに避難した。アパートの3階にある自宅には先月の台風15号でも強風が吹きつけた。窓ガラスに段ボールを貼って補強してきたが「早く通り過ぎて欲しい」と語った。

 江戸川区は大規模水害が起きると、ほぼ全域が1~2週間以上、浸水すると予測されている。区民館の前では土囊(どのう)が配られ、この日の朝は30人以上が列をつくった。並んでいた高橋せい子さん(82)は、1949年のキティ台風で自宅が浸水し、腰の辺りまで水につかった。台風19号に備えて前日から懐中電灯や食料、飲料水を確保。高校3年の孫とともにハザードマップを確認し、いざというときには避難するつもりだ。「こんなに強い台風が相次ぐなんて信じられない。恐ろしいです」

 江戸川区は12日午前8時に災害対策本部を設置し、一部の地域に避難勧告を出した。区内6カ所では、自主避難者を受け入れている。江東、葛飾、墨田、足立区も低地で、とくに高潮による浸水被害の恐れがあるとされている。都の防災担当者は「台風情報を確認したうえで、不要不急の外出を控え、自らの命を守る行動を早め早めに行うようにしてほしい」としている。(渡辺洋介)