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 埼玉県では、県西部の越辺(おっぺ)川の堤防が複数の箇所で決壊し、流域の高齢者施設や住宅が広い範囲で浸水した。川越市では老人施設の利用者が一時、孤立状態になった。だが、職員が総出で高い建物に移動させたため、犠牲者は出なかった。13日朝から消防や警察が利用者をボートに乗せるなどして救助した。

 特別養護老人ホーム「川越キングス・ガーデン」の職員が浸水に気づいたのは13日午前2時ごろ。施設には当時、入居者ら約120人がいた。施設の介護福祉士正木一也さん(45)によると、ゴボゴボという音に職員が気づいた。「玄関などから水が入ってきて水位がどんどん上がった」

 20人以上の職員が総出で、移動に介助が必要な人を車いすやベッドごと平屋建ての棟から3階建ての別棟へ移動させた。水は平屋の壁の半分ほどの高さまで上がり、明け方には停電したという。

 渡辺圭司施設長(57)は救出終了後に記者会見し、「20年前の水害の教訓が生かされた」と話した。経験を教訓に避難マニュアルを作成し、避難用に3階建ての新棟を建てたという。渡辺施設長は「途中で停電となり、エレベーターが動かなくなったが間に合った。3階建てのおかげ」と語った。

 ただ13日午前1時ごろに雨がやみ、いったん職員を休ませていたが、その後急激に水かさが増えたという。「これは想定外だった」と話した。(西堀岳路、山口啓太)