【動画】愛知県豊田市のファンゾーンで盛り上がる観客たち=小山裕一、臼井昭仁撮影
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(13日、ラグビー・ワールドカップ 日本28―21スコットランド)

 逆転し、相手の攻撃をしのぎきって、史上初の決勝トーナメント(T)進出をたぐり寄せた。ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会の日本―スコットランド戦。日本の勝利の瞬間、ファンは雄たけびをあげた。

 会場の横浜国際総合競技場。試合が終わった瞬間、割れんばかりの大歓声に包まれ、うれし涙を流す人もいた。観客席に向かって一礼する選手たちに、大きく手を振るファンから惜しみない「ニッポン」コールが送られた。川崎市の会社員岡本泰之さん(49)は1次リーグ全4試合を観戦し、「感動の連続だった」。社会人のクラブチームに所属し、ラグビー歴は約30年。「自分も戦うつもりで」と、日本代表のジャージーにヘッドキャップをかぶり、ラグビーボールも持参して駆けつけた。「期待以上の力を発揮してくれた。この先も楽しみでしかたない」と笑顔だった。

 東京都品川区の会社員野口一弘さん(52)も「4年前、スコットランドに負けて悔しい思いをしたから……。最高の瞬間に立ち会えて、言葉にならない」と声を震わせた。準々決勝の相手は、2015年のW杯で日本が番狂わせを起こして競り勝った南アフリカ。「前回は『奇跡の勝利』と言われたが、次こそは『実力の勝利』をつかみ取れるはず。日本の強さを世界に示してほしい」と期待を込めた。

 試合前には選手や観客らが台風19号の犠牲者に黙禱(もくとう)を捧げた。岐阜県羽島市から新幹線で訪れた歯科医師戸田秀治さん(58)は「会場まで来られるか心配だった。現地で応援できるだけで幸せ」。日本が4トライを奪う展開に「因縁の相手とも真っ向勝負できている。日本が強くなったと改めて実感した」と語った。川崎市から家族5人で訪れた会社員須賀良平さん(61)は「被災して会場に来られない方もいるかもしれない。選手たちには被災者に勇気を与えるプレーを見せてほしい」と語った。日本代表のジェイミー・ジョゼフ監督は試合前、台風被害が大きいなかで試合をすることについて選手たちに話したという。リーチ・マイケル主将は「私たちだけの試合ではないと思っていた。僕たちの闘いが、少しでも勇気を与えられたと思う」と話した。

 東京・有楽町のファンゾーンでも日本代表の勝利の瞬間、大画面で観戦していた人たちが立ち上がり、両手をつきあげ、叫び声をあげた。室内は勝利を喜ぶ歓声がいつまでも続いた。

 高校時代にラグビーをやっていた父親に連れられてきた東京都墨田区の小学3年川村晟(じょう)さん(9)は頭に「JAPAN!!! ぜったいかつ!」と書いたはちまきをまき、画面の目の前で応援した。「すごい。全員が走っているから勝てた。特に福岡堅樹選手がすごかった」と初の8強入りを喜んだ。「次も絶対勝てる」と期待した。

 ラグビー日本代表らが訪れる東京・神田の理容店「THE BARBA(バルバ) TOKYO B1」では、閉店直後からスタッフらが集まって中継を見守った。同店や本店にはニュージーランド(NZ)代表らも訪れ、壁面には多くのサインが走っている。先週も田村優が訪れたばかり。店長のKANAMIさん(24)は「インタビューで『大事な試合』と話しているのを見たし、お店でも少し緊張しているように感じた。とにかく勝ってほしい」と語った。試合後、本店店長の大城朝矢さん(26)は「最高です。最後は守りがよかった。試合を見るたびにすごい人たちだと感じる。このままぜひ優勝してほしい」と喜んだ。

 東京・上野のスコットランド系英国人がオーナーのパブ「ウォーリア・ケルト」には試合前から大勢の客が詰めかけた。スコットランド出身のコリン・ワトソンさん(62)は2週間前に初来日し、3試合を見た。この日は恋人と2人分のチケットが買えず、パブで観戦することに。「日本チームは、これまで素晴らしい闘いをしている。次の試合も日本に頑張ってもらいたい」と語った。(原田悠自、山浦正敬、荻原千明、平山亜理