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(13日、ラグビー・ワールドカップ 日本28―21スコットランド)

 圧巻の2トライ。歴史を切り開いたのは福岡のスピードだった。

 前半終了間際。味方のキックに反応して一気に防御ラインの裏に抜けだした。転がる球を拾ってインゴールへ飛び込んだ。

 まだまだ終わらない。後半最初のトライは「一人舞台」だった。球を持った相手にプレッシャーをかけた。球を奪い、そのまま独走した。

 「日本ラグビーの新しい歴史をつくるために、すべてを捧げてきた。本当に最高の瞬間」と喜びを爆発させた。

 4年前、スコットランド戦がW杯デビュー戦。俊足を世界に披露するつもりが、見せ場をつくれなかった。「不完全燃焼」。チームは3勝したものの、福岡の出場は敗れた1試合、そのスコットランド戦だけ。「人生の挫折」と語る、ほろ苦い試合となった。

 悔しさを糧に貪欲(どんよく)になった。翌年夏のリオ五輪に7人制代表として出場し、4位に。7人制は試合時間こそ短いが、スプリント(短距離走)の繰り返しで体に負荷がかかる。この経験が生きた。瞬間的な加速がより身につき、ここぞで走りきれる体力がついた。

 迎えた因縁のスコットランド戦。雪辱を果たす場だった。「4年前と一緒だったら意味がない。自分の走りでチームに勢いを与えたい」。試合前に話していた通りの頼もしいプレーで、チームを引っ張った。エースの名にふさわしい。(有田憲一、能田英二)