[PR]

 国民の3~5人に1人が悩んでいるとも言われるスギ花粉症。その原因になるスギ花粉を出さない「無花粉スギ」を、鳥取県林業試験場が開発した。無花粉遺伝子を持つ県外のスギと県産の優良スギを組み合わせ、7年がかりで実現。県は増産体制の整備を進め、花粉症被害の軽減につなげたい考えだ。

 県などによると、無花粉スギは1992年に初めて富山県で見つかった。自然界では2500~6千本に1本しか現れないという。

 鳥取県は2012年、無花粉スギの開発に着手。一般的に木材としての質がよくないとされる無花粉スギの欠点を克服するため、無花粉遺伝子を持つ石川県のスギの花粉を、雪に強く成長が速いなどの特徴を持つ県産の優良スギに人工交配させた。この段階ではすべて失敗したが、生まれたスギをさらに人工交配させた「孫世代」の約1万5千本のうち85本に花粉遺伝子が含まれないことを今年3月に確認した。国や都道府県による人工交配では5件目の成功で、県は無花粉と優良スギの二つの特徴を持った「ハイブリッド無花粉スギ」と名付けた。

 今後、県は苗木を生産者に配り、5年後に年間3千本生産する体制を目指す。現在、県内にあるスギ林の面積は約6万2千ヘクタールで、年間約10万本が植えられる。無花粉スギは交配から完成まで最短でも4年かかるため、県全域に広げるにはまだ時間が必要だ。

 15日に県林業試験場であった説明会には、生産者ら約20人が参加した。池本省吾・主任研究員は「将来的に数万本を植えたい。花粉症の軽減につなげられれば」と話した。(鈴木峻)