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 記録的な大雨をもたらした台風19号の影響で発生した土砂崩れなどで、群馬県西部の山間部の3町村では一部の集落などが孤立した。嬬恋(つまごい)村では電気や水道が止まったり電話が不通になったりするなどし、13日午後には県の要請で自衛隊のヘリが飲料水を運んだ。各町村によると、土砂の撤去など道路の復旧作業が進み、14日午後5時までに孤立は解消されたという。

 嬬恋村では12日午後4時ごろから、16世帯93人と、鹿沢(かざわ)温泉近くのホテル「休暇村嬬恋鹿沢」で宿泊客54人と従業員22人が孤立。土砂崩れや倒木の影響で道路が寸断されていたが、16世帯は13日中に孤立が解消。休暇村についても14日夕までに道路が通行可能になったという。

 神流(かんな)町では集落に続く県道の路肩の崩落などが13日午前に確認され、最大で5地区の計31世帯53人が孤立した。その後一部の道路で土砂の撤去作業が進み、14日午前11時半現在で持倉地区の7世帯9人が孤立していた。

 南牧(なんもく)村では12日午後6時ごろから、道路の陥没などで最大計54世帯100人が孤立。1世帯2人は13日に解消し、残っていた大塩沢、高原、大久保の3地区計53世帯98人の孤立も14日午後5時までに解消されたという。

 南牧村は長野県境の山あいに位置し、全国一の高齢化率でも知られる。12日夜からの孤立状態は、地区へ通じる道路の応急復旧工事でひとまず脱した。

 自宅から最寄りのバス停まで徒歩で10キロ以上の距離があるという女性(78)は普段、マイカーが移動手段。道路が陥没して通れなくなった。「ただ復旧を待つことしかできない」。雨が上がっても外出を控え、裏山の畑から自宅敷地へ流れ込んだ大量の土砂の片付けに追われた。停電はなく、ガスはプロパンで、水道が止まらなかったのも幸いした。

 二つの川の合流地点近くに住む60代女性の畑は、裏山から流れてきた土砂で完全に埋まってしまったという。自宅付近は大雪で孤立した経験もあり、「普段の買いだめが役に立った」。

 水道工事業を営む60代の男性は、自宅周辺の複数の道路が冠水したり崩れたりした。雨が降る間は近くの沢を大きな岩が流れるたび、地鳴りのような音が聞こえた。雨がやんだ後は、道路をふさぐ流木や泥を取り除く作業などに明け暮れた。「周りは高齢者ばかりの地域。何かあってからでは遅いので、早く復旧を」と話していた。(松田果穂)