【動画】水戸市の那珂川の浸水地域で排水作業=野津賢治撮影
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 記録的な大雨をもたらした台風19号による被害で、15日昼までに67人の死亡が確認され、19人が行方不明になっている。河川の堤防の決壊も長野や宮城など7県の47河川、66カ所に上っており、各地で捜索や復旧作業が続いている。

 15日昼までの朝日新聞の集計によると、家屋の浸水や土砂崩れなどによって、福島県で救助中の死者1人を含め25人、宮城県で12人が亡くなった。川崎市の沖合で12日夜、パナマ船籍の貨物船が沈没し、7人が亡くなったことも含め、神奈川県内の死者数も計12人となった。ほかに神奈川、福島、長野など6県で計19人が行方不明になっている。

 千曲(ちくま)川の堤防が決壊した長野県では、少なくとも3710棟で床上浸水が確認された。これを含め、東日本各地の床上浸水は計1万400棟に上り、計9031棟が床下浸水した。長野や福島など13都県で、計4628人が避難生活を続けている。

 河川の堤防についても、阿武隈川(福島県)や矢代川(新潟県)などで新たに決壊が確認された。国土交通省によると、関東や東北など広い範囲で被害が明らかになっており、国管理の22河川、都道府県管理の194河川で水が堤防を越えて浸水した。土石流やがけ崩れなどの土砂災害は、埼玉や静岡など19都県で計146カ所に上っている。

 被災地では停電も続く。経済産業省によると15日午前4時現在、関東甲信と東北の10都県の計約3万7470戸で停電。千葉県で約1万7千戸、長野県で約1万4千戸が停電している。

 また、厚生労働省によると15日午前4時現在、13都県で少なくとも計13万3633戸が断水している。浄水場・ポンプ場が水没した福島県いわき市で約4万5千戸、茨城県常陸大宮市で約1万3千戸が断水しており、断水戸数はさらに増える可能性もあるという。

福島の死者25人に

 台風19号による福島県内での死者は13日午前の段階では2人(県発表)だったが、14日午後には16人(同)に。15日はいわき市が7人の死者を発表するなど、同日昼までに25人に膨らんだ。県警などは川や土砂に流された人が他にもいる恐れがあるとして、県内各地で捜索を進めている。

 JR郡山駅から南東に約10キロの山間部にある郡山市田村町上道渡。15日午前10時すぎ、県警と消防署員ら10人が行方不明になっている小学校高学年の男児の捜索を始めた。

 男児は現場から10キロ以上離れた天栄村に住んでいた。母親と弟とともに母親の知り合いを訪ね、幅約10メートルの黒石川に親子3人で流されたとみられている。30代の母親と小学校低学年の弟は14日までに遺体で発見されたが、男児はまだ見つかっていない。

 現場では橋は壊れ、倒木や土砂が川に流れ込み、交通標識もなぎ倒されている。署員らはスコップなどを手に土手沿いを歩き、川の中でひっくりかえった黒っぽい軽乗用車を発見。この周辺を重点的に調べ始めた。

 捜索の壁となっているのが、捜索範囲が広い点だ。最初に弟の遺体が発見された場所から、上流と下流合わせて10キロほどを捜しているが、捜索は川の中だけにとどまらない。

 土砂で川から離れた場所に流された可能性もあり、田んぼや茂みなども調べる。捜索にあたる消防署員は「川の中を歩くだけでも大変な状況だ。なんとか見つかってほしい」と話した。

 捜索活動を見つめていた折笠英一さん(68)は「黒石川がこんなことになったのは、初めて。捜索を手伝いたいけど、自分の家のことで精いっぱい」と話していた。(田中基之)