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【アピタル+】患者を生きる・眠る「膀胱がん」

 膀胱(ぼうこう)がんは、血尿や頻尿など排尿時のトラブルを端緒に見つかることが多いそうです。気がつくきっかけになる症状や手術・治療について、国立がん研究センター泌尿器・後腹膜腫瘍(しゅよう)科の松井喜之さん(47)に聞きました。

拡大する写真・図版国立がん研究センター泌尿器・後腹膜腫瘍(しゅよう)科長の松井喜之・病棟医長

――膀胱がんとはどういった病気ですか。

 尿をためる膀胱の内側の粘膜に腫瘍(しゅよう)ができます。がんが進行するに従い、外側の筋肉まで及びます。

――病気に気づくきっかけは?

 赤や茶色の尿が出ることが最も一般的な症状で、おおよそ7割の方に出る症状です。膀胱内部の表面に出来た腫瘍から出血します。他には、頻尿や残尿感、排尿時の痛みなど膀胱炎に近い症状が出ることがあります。

――腫瘍のでき方に特徴はありますか。

 1カ所だけではなく、多発しやすいことが特徴です。よくカリフラワーやイソギンチャクのような形、と表現されますが、表面がぶつぶつと隆起したものが、複数箇所に発生しやすいです。一方で、ぶつぶつができずに表面をはうようにできるがんもあります。「上皮内がん」と呼ばれ、面的に赤くただれたようになるのが特徴です。

――治療はどのように進めるのでしょうか。

 膀胱がんが疑われた時は、内視鏡による検査や尿検査で診断します。確定診断のためにTURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術)で、腫瘍を切除して、採取した組織を顕微鏡で見てがんの種類や進行の度合いを確認します。がんが筋層まで浸潤していた場合、膀胱の全摘出をして、尿の出口を変える尿路変向術をとります。

――手術後の治療とは

 膀胱を温存した場合は、再発予防のためにBCG(ウシ型弱毒結核菌)を生理食塩水に溶かしたものを尿道から入れる膀胱内注入療法をします。結核予防のワクチンと同じで、免疫を高めることによって膀胱がんの予防に使います。国内では1990年代から使われる標準治療です。他には、抗がん剤を注入する場合もあります。

――治療後の副作用はありますか。

 弱いとはいえ菌を膀胱に入れるので、発熱や痛み、血尿や頻尿などの症状が起きます。いわば膀胱炎のような症状です。BCGは通院での治療ですが、患者さんの中には治療直後は頻尿で「毎駅で降りてトイレに駆け込んだ」という方もいます。それでも通常は2~3日後にはおさまります。あまりにも長引く場合は、医師に相談して下さい。注入量や回数を見直す必要があります。

――膀胱がんのなりやすさに男女差はあるのでしょうか?

 男性のほうが多く、男性:女性=3~4:1と言われています。リスク要因として確立されているのがたばこで、男女差は喫煙率の差と考えられます。その他、男性ホルモンが発症に影響を及ぼすのではないかという指摘もあります。

――病気と頻尿の関係は

 上皮内がんは、膀胱の壁に炎症が起きているようなものなので、膀胱の膨らみが妨げられて尿をためにくくなるため頻尿につながります。治療では腫瘍切除の手術では、患部を電気メスで焼くことになります。傷ができるので、1~2週間程度は違和感があり、完全に治るまで個人差はありますが3カ月ほどかかります。また、BCGの注入療法では炎症が起きるので頻尿につながります。

――頻尿を直す方法はあるのでしょうか。

 一般に膀胱炎の治療と同じです。膀胱を水圧で拡張させて、収縮しやすくする手術もありますが、一般的ではありません。過活動膀胱の薬や漢方薬、ステロイドの投与などが考えられます。

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<アピタル:患者を生きる・眠る>

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