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 損保大手が台風19号被害の保険金支払い態勢を拡充している。無人機ドローンで被害状況を調べたり、ネットやLINE(ライン)で請求を受け付けたりして、迅速な支払いをめざす。近年は大規模な災害が相次いでおり、台風19号の保険金支払いも巨額となる可能性が高い。

 台風などの水災は通常、請求後2~3週間で保険金が払われる。ただ、損保各社は千葉県などで大きな被害が出た9月の台風15号の対応も途上。「その手続きも終わっておらず、見積もりを出す修理業者の手が回らない。手続きは通常より遅れる可能性がある」(損保大手関係者)という。

 円滑な支払いのため、損保ジャパン日本興亜は台風15号対応で設けた東京や千葉などの災害対策本部に加え、宮城・福島・長野など6拠点を新たに設置。コールセンターや被害調査の態勢を600人増員した。

 損保大手は契約者がネットやLINEで被害写真や見積もりを送れるしくみも整えている。写真を撮る場合、「被害箇所に加え、自宅全体の撮影写真もあると手続きがスムーズ」(東京海上日動火災広報)という。

 三井住友海上火災とあいおいニッセイ同和は被害情報収集のため、ドローンを14日に長野や福島などで飛ばして調査した。東京海上は人工衛星画像なども使って被害を確認。三井住友海上は、スマホのビデオチャットで被害箇所を映し出し、専門知識を持つ社員が遠隔地から判定できるしくみを採り入れた。

 河川の氾濫(はんらん)などで家が浸水した場合、火災保険に水災補償をつけていれば、保険金を請求できる。車の水没被害だと、車両保険をつけていれば支払い対象だ。

 損害保険料率算出機構によると、全国の火災保険の水災補償付帯率は2013年度末の77%から17年度末に71%に低下した。地域差があり、山口・徳島などは80%超だが、奈良・滋賀などは60%台前半。一方で、車両保険加入率は13年度末の43%から17年度末に約44%と増加。愛知・岐阜は約57~58%と高く、山梨・高知・沖縄は30%前後と低い。

 近年は巨額な保険金支払いの風水災害が相次ぐ(表)。台風19号は請求手続きが始まったばかりだが、大きく膨らむ可能性が高い。

 日本損害保険協会によると、災害救助法の適用地域では、保険料払い込み手続きなどを20年4月末まで猶予する特別措置がとられるという。保険証券を紛失して保険会社がわからない場合、自然災害等損保契約照会センター(0120・501331)で問い合わせられる。(新宅あゆみ)

過去の主な風水災害による保険金の支払額

①平成30年台風21号(大阪、京都、兵庫など) 1兆678億円

②平成3年台風19号(全国) 5680億円

③平成16年台風18号(全国) 3874億円

④平成26年2月雪害(関東中心) 3224億円

⑤平成11年台風18号(熊本、山口、福岡など) 3147億円

⑥平成30年台風24号(東京、神奈川、静岡など) 3061億円

⑦平成30年7月豪雨(岡山、広島、愛媛など) 1956億円

⑧平成27年台風15号(全国) 1642億円

⑨平成10年台風7号(近畿中心) 1599億円

⑩平成16年台風23号(西日本) 1380億円

日本損害保険協会調べ。カッコ内は主な被災地域。今年9月上旬の台風15号は未集計だが、10位以内に入る見通し