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 台風19号の影響で断水した神奈川県山北町で13日、町の打診で陸上自衛隊の給水車が到着したものの、県からの正式な災害派遣要請がなかったために給水車が引き揚げる事態になった。災害派遣は自衛隊法で、「都道府県知事が要請できる」と定められている。

 町によると、13日午前1時ごろ、約20キロ先の陸自駒門(こまかど)駐屯地(静岡県御殿場市)に、災害派遣要請を求める考えを伝えた。同6時ごろには出発できるとの返事があったため、町は午前6時半ごろ、県に申請のファクスを送った。だが、県は「自衛隊への要請は代替手段がないときにするもの。県も給水車を派遣できる」として、県の給水車を検討するよう求めた。

 午前8時ごろ、陸自の給水車3台が町役場に到着したものの、正式な災害派遣要請がないために活動を始められず、午前9時前に水を積んだまま駐屯地に引き揚げた。

 道路の渋滞もあり、県の給水車2台が町役場に着いたのは午後1時前だったという。湯川裕司町長は朝日新聞の取材に「町民の命と財産を守る最前線にいるのは町長。緊急時であり、時間的、距離的要因も考えて派遣を求めた判断を、県は重く受け止めてほしかった」と話した。黒岩祐治知事は16日、記者団に「自衛隊の給水車が来たことを直ちに確認できなかった。しっかりした情報があれば(自衛隊に)活動してもらった」と説明した。(茂木克信、豊平森)