7月の参院選をめぐり全国の高裁に起こされた「一票の格差」訴訟で、最初の判決となった高松高裁は16日、「違憲状態」と判断した。原告側の弁護士はこれを評価する一方、後に続く判決で「違憲」判断が出ることに期待を寄せた。
「画期的な判決だ」。判決後、「違憲判断」と書かれた紙を持ち、高松高裁前に現れた原告側代理人の升永英俊弁護士は、報道陣に興奮気味に語った。
国会は2015年の公職選挙法改正で「19年の参院選に向けて選挙制度を抜本的に見直し、必ず結論を得る」との付則を設けた。17年の最高裁判決は見直しが行われることを前提に、最大格差3・08倍だった16年参院選を「合憲」とした。
だが今夏の参院選の最大格差は3・00倍と、縮小はわずか。訴訟で升永弁護士らは付則が全く実行されておらず、「国民への約束を果たしていない」と主張。この日の判決も、今夏の参院選に向けた法改正を、間に合わせの策を意味する「弥縫(びほう)策」という言葉で断じた。
升永弁護士は高松市内で記者会見。17年の最高裁判決が合憲とした選挙よりも格差が縮小したのに、違憲状態とした判決を「勇気ある判決」と改めて評価した上で、「格差は3倍に達している。『違憲』と言ってほしかった」と指摘。「正当な選挙は人口に基づかないといけない。(今後の各地の訴訟で)『違憲状態』以上の判断を得たい」と話した。(木下広大、遠藤隆史)
■自民の責任問う声…