[PR]

台風19号支援通信

 大きな災害が起きた後は女性や子どもが暴力被害に遭うリスクが高まるとして、NPOや警察が注意を呼びかけている。女性や子どもの意見を採り入れ、プライバシーに配慮した避難所作りが大切だという。

 研究者や女性支援団体による「東日本大震災女性支援ネットワーク」が2013年にまとめた報告書によると、東日本大震災後、暴力や強姦(ごうかん)・強姦未遂などの被害を受けたり、被害を目撃したりした82事例のうち、11年3月中の加害・被害は16件。災害発生直後から被害が起きていたという。

 「避難所で夜になると男の人が毛布に入ってくる」(20代女性)、「授乳しているのを男性にじっと見られた」(30代女性)などの被害があり、加害者には避難所の住人やリーダー、仮設住宅の隣人やボランティアなどもいたという。

 ネットワーク元世話人でNPO法人「ウィメンズネット・こうべ」代表の正井礼子さんは「避難所の運営に最低3割は女性を入れることが大事。年齢層も幅広く、若い女性も入れて」と話す。物資の配給などは男性が取り仕切ることが多いが、下着のサイズが合わなかったり生理用品が足りなかったり、といったことは女性から男性には伝えにくい。

 また、正井さんはプライバシーの大切さも強調する。男女別のトイレや更衣室を作ってほしいと要望すると「こんな時にわがままだ」などと言われることもあるが、「女性が見知らぬ男性の横で着替えなければならなかったり、隣で雑魚寝しなければならなかったりといった状況はどうなのか。なかなか声をあげられなくても、女性だけに聞き取りをすると、『嫌だった』と泣いていた姿が忘れられない」とした上で、「災害時には性被害や暴力が起きうることを前提に動いてほしい」と話す。

 性暴力撲滅を啓発するNPO法人「しあわせなみだ」の中野宏美代表も「災害時には、性暴力が起こるリスクや被害が潜在化するリスクが高まる可能性が指摘されている」と話す。その背景として、建物が倒壊して死角が増え、街灯が消えて暗くなるなどハード面の状況に加え、不安感や恐怖心などのストレスが暴力として表れてしまう人がいること、生命の救助を優先させるため、性犯罪に対しての初動が遅れることなどをあげる。さらに、被害を訴えても「命が助かったのだから」と言われたり、災害後の助け合いやコミュニティーが重視される中で「自分さえ我慢すれば」と考えたりしてしまいがちだとも指摘する。

 中野さんは「支援する人は性暴力が起こるリスクがあることを前提に、プライバシーに配慮した避難所作りをして欲しい。相談機関があることも伝えて」と話す。

 熊本市男女共同参画センターはあもにいは16年に起きた熊本地震後、「男女共同参画の視点に立った防災ポイントBOOK」を作った。避難所運営のリーダーを男性に任せたことで、おむつや生理用品、更衣室や間仕切りなどを必要とする女性のニーズがつかめなかった問題などを、漫画を使って分かりやすく説明している。ポイントBOOKは同センターのホームページ(http://harmony-mimoza.org/news/docs/%E9%98%B2%E7%81%BD%E3%83%9D%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%88BOOK.pdf別ウインドウで開きます)でダウンロードできる。

 静岡県警も熊本地震後、「災害時には女性へのDVやハラスメントが起きやすい」との危機感のもと、「防災女子」というパンフレットを作成。同県警のホームページからダウンロードできる(https://www.pref.shizuoka.jp/police/kurashi/saigai/documents/bosaijoshi-aka.pdf別ウインドウで開きます)。英語やポルトガル語など7カ国語版もある(https://www.pref.shizuoka.jp/police/kurashi/saigai/7languages.html別ウインドウで開きます)。