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 「水が上がってきたよ、お父さん!」。台風19号の影響で前日から強い雨が降り続いていた13日の未明。JRいわき駅から約2キロ離れた福島県いわき市平下平窪に住む関根百合子さん(86)は目が覚め、敷布団がぬれているのに気がついた。約300メートル離れた夏井川の水があふれ、家まで浸水していた。あわてて夫の治さん(86)に声をかけた。

 約30年住む自宅は平屋。通帳などの貴重品を高いところに移すうち、水がさらに増えていく。治さんが消防に通報すると「屋根に上がって」と言われたが、治さんは足が悪い。日頃から百合子さんの肩に手をかけないと歩けなかった治さんは、家の窓を開けて「助けて」と叫び続けた。

 百合子さんはベッドの上に立ち、治さんの手をつかんで引っ張り上げようとした。しかし、治さんは思うように体を動かせないままだった。

 「長いこと世話になったな」。…

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