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 最近、米国のイエール大学で脳科学の研究を続けている精神科医の久賀谷亮さんから、「運動と脳の関係」について聞かれ、電話で1時間ほど話しました。インタビューを受けることは、自分にとっても内なる気づきにつながります。久賀谷さんから色々と質問を受けながら、自分自身、サッカー選手を個人的に教えている中で、どんなプロセスを踏んでいるかということを改めて考える良い機会になりました。

 大前提として、自分が選手を育てる時に考えているのは、弱点を指摘し、課題を克服していくことではありません。改善点にフォーカスすると、どうしても枝葉へのアプローチになってしまいます。そうではなく、その選手が近い将来こんな素晴らしい選手になるだろうというイメージを作り上げ、そこから逆算して、今やるべきことを探し、選手に教えていくことを心がけています。

 そのためには、うまくいった時になぜうまくいったのかを言語化させることによって、成功体験を刷り込ませることが重要です。これは中村俊輔選手も以前、同じことを話していました。「試合で一度でもできたプレーは、自分がやったことだから、また必ずできる。そのプレーを全体練習後の居残り練習で、ゆっくり再現しながら体に刷り込んでいく」と。それも大きなヒントになっていて、その感覚をどう選手たちに体験させるかを考え、一連の動きを細かく分解して伝え、何度も繰り返すことによって、体に刷り込み、試合で使えるプレーにしていきます。

 ただ、このプロセスは、いわば「機械系メカニズム」といえます。一度、バラバラにして理解し、また組み立てて動く。これは相手がいなければ効果的ですが、サッカーは相手がいるスポーツです。自分が予期しない動きを相手がしたり、自分が完璧なプレーをしても相手がそれを予測し、うまく対応して封じ込められたりもします。

 そんな時に大事なのは、直感、第六感です。「読まれているな」とか、「何か嫌な予感がする」と感じること。そして、その直感や第六感が起動した時に、試みたプレーをキャンセルができるかどうか、です。最初から「こういうプレーをしよう」と決めている選手はプレーキャンセルができないので、自分の型にはまった時にはうまくいきますが、そうでない時は通用しません。

 なので、嫌な予感がした時にプ…

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