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 若い頃は安い給料で働かされ、中高年になれば「働かない。高い給料をもらっているのに」と批判される――。これには日本型雇用の構造的な問題が隠れていそうです。「働かないおじさん」はなぜ存在するのか。人材開発が専門の立教大学教授の中原淳さんに聞きました。

    ◇

 ――働かないおじさんは、なぜ存在するのでしょうか。

 「これはおじさん個人の問題ではなく、日本社会の問題です。いわゆる日本型雇用がどうなっているのか、概念図にするとわかりやすいです。縦軸に生産性と賃金、横軸を年齢とします。新卒一括採用の終身雇用では、若い頃は賃金が安く、年齢とともに賃金が上がっていきます。一方で、生産性は賃金よりも早く上がり、高齢になると頭打ちになります。右上の生産性よりも賃金が高くなっている状態が、『働かないおじさん』のゾーンです」

高齢になっても働くのが当たり前――。そんな時代の足音がひたひたと聞こえます。国全体を眺めても、人口減少による現役世代の激減を前に、政府は「一億総活躍」という言葉で高齢層を労働力に繰り入れようとしています。私たちの人生から「老後」という時間が消えていくのでしょうか。「老後レス時代」の生き方を考えます。

 ――なぜ働かないのですか。

 「働いていないわけではありません。賃金に見合う生産性があげられていない、という方が正確です。おじさんにしてみれば、もう将来は見えているわけです。頑張っても、部長になることはないだろう。かといって転職すれば、おそらく給料は下がる。なぜなら転職市場では生産性と賃金がおおむね一致するから。だから、組織の中に「ホステージ(とらわれている)状態」になって、しがみついてしまうのです。こういう状態は製造業の大企業に多いのですが、これまで専門的な仕事をしてきた分、市場の構造が変化したら自分のスキルでは対応できなくなった。このまま逃げ切りたいという意識が働くのは自然です。子どもの教育費やマイホームの費用など、この年代はお金もかかります。それに、若い頃は賃金よりも生産性が高かったわけです。その頃のぶんを取り戻している、と自分を納得させることもできます」

 ――でも、若手から見ると、働かないのに高い賃金をもらっていて、腹立たしい気持ちもわかります。

 「そうでしょう。今の若手は、将来、働かないおじさんのような賃金と生産性が逆転する状況は起こらないと、薄々気づいています。だからこそ、世代間の不平等に腹が立つでしょう。若手も、できることなら終身雇用を望んでいます。でも、たぶん無理だろうと考えている。現状では転職した人の数は少し増えた程度ですが、転職希望者は急増しています。意識は変わってきています」

 ――年金問題を考えれば、長く働くことは一つの解決策になります。

 「国は、高齢化に対応するため、企業に対して希望する人を70歳まで雇わせようとしています。しかし、そのための人件費を国は出しません。とはいえ、企業も株主の手前、全体の人件費はあげられない。結果、賃金カーブを見直し、下方修正するはずです。ただちに狙い撃ちされるのは、生産性と賃金が見合っていない働かないおじさんでしょう」

■年齢に応じた賃金カーブ、消え…

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