[PR]

 台風19号で地下にある九つの収蔵庫すべてが浸水被害を受けたことが分かった川崎市市民ミュージアム(同市中原区)。今回の被害で休館するまでは企画展「のらくろであります!田河水泡と子供マンガの遊園地」を開催していたなど、漫画に力を入れていた美術館だ。2005年には手塚治虫文化賞の特別賞も受賞している。

 収蔵品には、手塚治虫より前にストーリー漫画の手法を取り入れたと言われる宍戸左行による1930年代の漫画「スピード太郎」の原画、1917年にアニメ映画を公開し日本アニメーションの創始者とされる下川凹天(へこてん)の遺品などがある。他にも、ポスターや写真、映画など、公立の美術館としてはユニークなコレクションで知られている。

 京都国際マンガミュージアムなど最近は漫画を扱う美術館が増えてきたが、資料の多くは戦後のものだ。明治大准教授で戦前、戦中の漫画史を研究する宮本大人(ひろひと)さんは「戦前の風刺画や雑誌が体系だって保管されていた点で、川崎は他に類を見なかった」という。資料の電子データ化はまだ一部しか進んでいないといい「日本のマンガの成り立ちを知る資料であり、大きな損失になる可能性がある。被害が少ないことを願っている」と話す。(加藤勇介)