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 10月末に期限が迫る英国の欧州連合(EU)離脱問題が山場を迎えている。英下院は19日、EUから離脱する条件を定めた協定案の審議を始めた。英国とEUの間でこれまでに何が起きて、今どうなっているのか。

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 EUは前身を含めれば、60年以上の歴史がある。第2次世界大戦後の1952年、フランスや旧西ドイツなどが主導して欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)が発足。これらがもとになり、67年に欧州共同体(EC)に、93年にEUに改組した。現在は28カ国が加盟する。

 EU基本条約には共通通貨ユーロの導入や欧州中央銀行(ECB)の創設、欧州議会の強化を定めるほか、共通の外交・安全保障政策や司法協力も盛り込まれ、欧州の統合を深めてきた。

 だが、英国は当初から他の加盟国と距離を置いてきた。EC発足から6年後の73年に遅れて加盟したうえ、共通通貨ユーロには加わらず、欧州域内の移動の自由を定めた「シェンゲン協定」も締結していない。人口や経済規模ではEUの主要国だが、欧州一体化には消極的な姿勢だった。

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 当初から欧州統合に加わることに消極的だった英国内で近年、EU圏からの移民増加や共通政策への不満からEU離脱論が高まった。議論に決着をつけようと、保守党政権のキャメロン首相(当時)は2016年6月にEU離脱の賛否を問う国民投票に踏み切った。EUにとどまることを国民の支持で正当化する意図だったのだが、結果は、僅差(きんさ)でEU離脱派が上回った。キャメロン氏は責任をとって辞任し、メイ氏が新しい首相に就いた。

 しかし、そのメイ氏も迷走を続けた。当初は19年3月29日が離脱の期限だったが、英国とEUの間で合意した離脱協定案が英下院で3度否決された。この協定案は、過去に紛争があった英領・北アイルランドとアイルランドと間の厳格な国境管理を復活させないため、北アイルランドを引き続きEUの規制、関税のルール下に置く可能性がある点について、「英国が主導権を失う」と批判された。離脱期限は2度の延期を経て10月末となり、メイ氏も混乱の責任をとって辞任した。

 7月に新しい首相に就いたジョンソン氏は、10月17日にEU側と新しい離脱協定案で合意。この協定案では、英領・北アイルランドにも英国の関税ルールを適用することとし、EUではなく英国に主導権があるとしている。英国本島や第三国から北アイルランドを経由してEU域内に入る物品については、EUの関税や規制を適用する。英国内で二つの関税基準ができるとしても、名目上の英国の一体性を確保することで妥協した。関税などが現状維持される「移行期間」も20年末まで設けられた。

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 この協定案を、日本時間19日…

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