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 名古屋工業大(名古屋市昭和区)で、1969年の学部卒業生を対象にした「半世紀遅れの卒業式」が開かれた。当時は全国で学園紛争の嵐が吹き荒れ、名工大では学部卒業式が中止された。記念の式典が実現したきっかけは、1人の卒業生のある体験だった。

 69年、東京大では学生らが占拠する安田講堂に機動隊が投入され、入学試験も中止されて社会に衝撃を与えた。東大は前年の卒業式が中止となっており、長く全学統一の卒業式は行われなかった。69年には神戸大や九州大など各校で全学レベルの卒業式が中止されている。名工大では、入試不正疑惑に端を発した学生ストライキで式が中止に。卒業生は各自で印鑑を持って卒業証書を受け取ったり、郵送してもらったりした。

 この年に工学部土木工学科(当時)を卒業した米田佳弘(よねだよしひろ)さん(72)=岐阜県可児市=は「悪夢を消し去りたいという一個人の思いが、ここまで大きなことになるとは思ってもみなかった」と笑う。

 兵庫県姫路市の高校から進学し、アイスホッケーにも打ち込む充実した学生生活だった。好景気の「売り手市場」で、建設会社への就職も決まっていた68年12月のこと。友人と話す中で、卒業に必要な単位数が足りない恐れがあるとわかった。「卒論もほぼできてホッとした時に、一気に青ざめて教務課に駆け込んだ」。幸い単位はぎりぎり足りていたが、このことが60代になっても夢に出た。次第に「卒業式という区切りがなかったことが影響しているのではないか」と考えるようになったという。

 そんな話を友人らにしたのをきっかけに、全学同窓会組織「名古屋工業会」と大学が協力して、各年度の卒業生が母校に集うイベント「ホームカミングデー」での式典開催が決まった。

 10月26日の式典には、69…

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