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(20日、ラグビー・ワールドカップ準々決勝 ウェールズ20-19フランス)

 SH流は狙われていた。密集からボールを素早く展開したいのに、次々と相手のタックルに襲われた。「遅れ気味でも、反則でもないギリギリのところで来られた」。攻撃のテンポを思うように作らせてもらえなかった。「これが優勝を目指すチームかと思った。これまで経験したことのない強さだった」

 フィールドで一番小さな166センチの体で、誰より大きく声を張り上げ続けた。試合前、「声で、選手と選手をつなぐコミュニケーションを取り続ける」と誓っていた。防御では指示で味方を動かし、手をたたいてチームを鼓舞した。「チームにエナジー(活力)を与え続ける。それが僕の役割」。劣勢の中、必死に叫んだ。

 帝京大、サントリーと強豪で成長を続け、たどり着いたW杯で全5試合に先発出場。準々決勝進出という新たな歴史を作った。多くの人にラグビーの魅力を知ってもらえた実感もある。

 だが、「悔しかった」。まだ27歳。「まだ(準々決勝では)勝てないと実感した。4年かけて、勝つ準備をしないといけない」。試合後に涙を流した少し赤い目は、次回のフランス大会に向いていた。(菅沼遼)