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 トルコ軍によるシリア北部での越境軍事作戦で、攻撃を受ける少数民族クルド人の武装組織「人民防衛隊」(YPG)側は20日、シリア北部の要衝ラスアルアインから全戦闘員を撤退させたと発表した。トルコと米国は17日、YPGをトルコ・シリア国境地帯から撤退させるために120時間の攻撃停止で合意したが、トルコ軍とYPGの衝突は続いており、停戦の実現は見通せない状況だ。

 ラスアルアインはトルコ国境沿いにあり、トルコ軍は完全制圧をめざして地上部隊を投入していた。YPG側は20日に出した声明で、ラスアルアインから撤退したと表明したうえで、「停戦合意にもかかわらずトルコ軍は攻撃を続けている」とトルコ側を非難した。

 これに対し、トルコ国防省も20日に声明を出し、「ラスアルアインからのYPG撤退を確認した」としつつも、米国を仲介役とする攻撃停止の合意が発効した後も、YPG側から22回の違反行為があったと非難した。20日にはラスアルアインの約100キロ西にあるシリア北部テルアビヤドで、偵察中のトルコ軍兵士1人がYPGの攻撃で死亡したとしている。

 トルコのエルドアン大統領は19日、トルコ中部カイセリで演説し、「合意が守られなければ、軍事作戦を再開する」と強調した。(イスタンブール=其山史晃)