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 新元号「令和」を決める選定過程で、政府が検討した約70の不採用案が将来、公開される見通しとなった。政府は公開範囲を検討していたが、安倍晋三首相らの協議対象となった約70案の考案者とその典拠などを歴史的公文書として公開すべきだと判断した。

 政府は、1989年に平成が始まって間もなくから水面下で元号考案を学者に依頼。その後死去した人の案を除く約70案から事務方で十数案に絞り込み、今年3月に首相、菅義偉官房長官らによる最終協議を行った。

 首相らは事務方が一度は候補から外した案も含めて再検討し、「英弘(えいこう)(古事記)」「久化(きゅうか)(易経)」「広至(こうし)(日本書紀、続日本紀)」「万和(ばんな)(史記)」「万保(ばんぽう)(詩経)」「令和(万葉集)」の6原案を決定。4月1日の有識者による「元号に関する懇談会」などに提示し、令和が選ばれた。

 約70案の公開時期は、令和の次の元号が決まった後となる見込み。懇談会の詳細な議事録などとあわせ、文書が移管される国立公文書館で公開する予定だが、政府関係者は「(公開するかどうかの)最終判断は時の政府が行う」としている。

 政府が3月14日付で元号考案を委嘱した学者は、国書の専門家2人を含む5人だった。令和は国文学者の中西進氏、万和は石川忠久・元二松学舎大学長(中国文学)、広至は宇野茂彦・中央大名誉教授(中国哲学)が考案したが、英弘、久化、万保も宇野氏の案だった。6原案に残らなかった2人のうち1人は池田温・東大名誉教授(東洋史)と判明していたが、政府関係者によると、もう1人は日本史の専門家だという。

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