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「要造、貴様も、気づいたか?」

 と父は血相を変え、ぼくに詰め寄った。

 冷え冷えとした冬の夜が、ぼくら親子を包みこんでいた。往来の電灯が、父が話すたびチカチカ明滅した。息が白い。耳も凍えて、ちぎれそうに痛い。

「なな、なににです? お父さん」

「“時を巻き戻す前に死んだ人間は、次の世界で生き返ったとき、力のことを忘れている”ということさ!」

「なっ……」

「だって、田辺くんは火の鳥のことも、己が鋼鉄鳥人形を開発したことも、周りの状況が変わったことも、何一つ覚えてないじゃないか!」

 ぼくはこわごわうなずいた。

 鉄道馬車に乗り、日本橋に戻った。馬車に揺られながら、父は目を細めて暗く笑って、

「これで、火の鳥の秘密を知る者は、この世に二人だけとなった。俺と、息子だ。なぁ、要造、おまえはけして親を裏切るな。田辺くんみたいに、この俺に逆らったりするなよ。あぁ、破産する前の世界に戻れた。見ろ、月も出ているぞ。最高の夜じゃないか」

 ぼくは、父がそばにいることに…

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